ハウスクリーニングにおけるフランチャイズ経営の実態とは?初期費用目安も
東京オリンピックを2020年に控え「民泊サービス」の増加や「ハウスクリーニングサービス」・「家事代行業」などが注目を集めています。
ハウスクリーニングにおけるフランチャイズ経営の需要も右肩上がりが予想されるため
「今後需要がある分野だから興味がある」
「未経験でもフランチャイズだったらいけるかも」
と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、ハウスクリーニングのフランチャイズを展開する大手ハウスクリーニングメーカーのホームページを拝見すると「加盟店の平均月商が〇〇万円」などと掲載されているため、無理はありません。
しかし、これらホームページの良いことやメリットばかりが先行し、ハウスクリーニングのフランチャイズ経営の難しさや、デメリットについては十分に伝わっていないのが現状です。
ここでは、ガラス再生研磨サービスだけでなく清掃会社として10年以上の実績のある弊社が、ハウスクリーニングフランチャイズ経営の難しさ、大変さを業界に精通している立場からご紹介させて頂きます。
ハウスクリーニングサービスの市場規模の推移
まずハウスクリーニングが今後見込まれる市場規模を確認しておきましょう。市場規模の推移をご紹介します。
共働き世帯数の推移
ハウスクリーニングの市場規模を分析する上で、欠かせないのが「共働き世帯数」です。
下記は、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」による「専業主婦世帯と共働き世帯数」の推移です。
出典:専業主婦世帯と共働き世帯|独立行政法人 労働政策研究・研修機構https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html
こちらのグラフを参照すると、1980年代をピークに専業主婦世帯が徐々に下降線を辿り、2018年にはその推移が逆転し、「共働き世帯数」が実に、1,219万世帯に増加しました。
このことから、多くのご家庭が共働きをしている現状が理解できるかと思います。
ハウスクリーニングの市場規模を理解しよう!
さて、共働き世帯数が増加していることは理解できました。続いては、「ハウスクリーニングの市場規模」についてみていきましょう。
市場調査サービスを行う「富士経済ネットワークス」のハウスクリーニングサービスの市場規模を示す統計データによると、ハウスクリーニング市場規模は2015年に約1,500億円規模でした。
しかしそれ以降、徐々に市場規模を右肩上がりに拡大し、2020年予想では「1,820億円」に急成長しています。
つまり、「共働き世帯数の増加」・「民泊サービスの増加」・「超高齢社会」等の影響により、ハウスクリーニングサービスの需要がますます拡大していることが、統計データからも伺えます。
これらの背景要因には、もちろん東京オリンピック開催も大きく関わっています。
ハウスクリーニングのフランチャイズ経営は、一見して非常にニーズがあり将来有望な気がしますよね。
ハウスクリーニングフランチャイズにおける初期費用とは
ハウスクリーニングのフランチャイズ経営は、需要が拡大しつつあり、業界未経験者には非常に魅力的です。
しかし、「ハウスクリーニングフランチャイズ経営の初期費用をご存知ですか?」
項目 | 金額 |
加盟金 | 200,000〜900,000円 |
保証金 | 200,000〜300,000円 |
研修費 | 440,000円 |
器材費 | 1,550,000円 |
開業支援金 | 50,000円(開業後の支援代金) |
システム使用料 | 150,000円(財務管理システム等) |
合計額 | 2,590,000〜3,390,000円 |
上記ハウスクリーニングフランチャイズ経営初期費用、開業資金は目安となりますが、フランチャイズに加盟するだけで最低でも250万円の資金が必要に。
もっともお安い開業資金を提供しているフランチャイズサービスの会社でも、開業資金に100〜200万円前後は必要です。
未経験から、ハウスクリーニングのフランチャイズを経営するために、これほどまでの初期費用が必要だと、意外にも知らない人が多いです。
▼気になるハウスクリーニングの受注価格についても確認する!
【独立】ハウスクリーニング受注価格の実態とは?独立・開業の前に確かめたいこと
ちょっと待って!ハウスクリーニングフランチャイズの実態
ここでは、フランチャイズ経営に興味がある業界未経験の方にもわかりやすく、フランチャイズの継続費用や現状を解説致します。
毎月ロイヤリティを支払う必要あり
フランチャイズ経営は、開業資金・初期費用だけ支払えば良いというわけではありません。毎月かかるロイヤリティを支払う必要があります。
ロイヤリティ費用の目安ですが、フランチャイズサービスを展開している会社によって異なるものの、概ね40,000〜60,000円以上もかかります。
また、営業活動に使用するためのパンフレットやチラシなども本部が指定するものを使用する必要があり、高額です。
どちらかというと、高額な初期投資や継続費用がかかり、フランチャイズ加盟店よりも本部にメリットがあると言っても過言ではありません。
基本的に現場までの交通費や駐車場代は自己負担
フランチャイズに加盟し、見事独立したとします。
現場までの交通費や、コインパーキング代金は、フランチャイズ本部からは当然のことですが、支援してもらえません。
また、お客様から頂くわけにはいかず、全て自費でまかないます。
特に都市部での経営をお考えの方は、地方エリアとは違い無料で駐車できるスペースが限られており、そのほとんどが有料ですよね。
独立したては、ハウスクリーニングを一人で行うにもある程度の時間がかかりますし、3LDKのサッシのクリーニングだけで7時間かかることもザラにあります。
依頼内容によっては、時間がかかり、それに応じて交通費・駐車代も膨らみかねません。
管理会社の下請けとして働くのが難しい
業界未経験者の方だとあまり知り得ない情報かもしれませんが、実はフランチャイズに加盟し、営業車にフランチャイズのロゴマークがあると、管理会社からの下請けとして働くことが難しい場合があります。
と言うのも、管理会社は管理会社の名前で清掃管理しているため、下請け会社の社名は控えたいという業界ならではという事業があるのです。
ですので、下請けの清掃会社の営業車に大きくフランチャイズのロゴマークがあることを嫌います。
このことから、営業車にロゴマークのあるフランチャイズ加盟店が管理会社の下請けとなるのは、場合によっては非常に難しいです。
エンドユーザーからの依頼総額が高くない
ハウスクリーニングの市場規模が右肩上がりで成長し、共働き世帯の拡大と共に、一般家庭からもそのニーズが増加しています。
しかし、ニーズが増加する中で注意しなければならないことがあります。
それは「エンドユーザーからの依頼総額は決して高くない」ということ。
ワンルームあたりの空室クリーニングの実例でご紹介しましょう。
ワンルームクリーニング顧客 | 依頼費用相場 |
エンドユーザーの場合 | 28,000〜30,000円 |
管理会社の下請けの場合 | 9,800〜15,000円 |
ワンルーム空室クリーニングの場合、エンドユーザーからコインパーキング代金を、別途頂ける場合もありますが、基本的には頂けないと考えてください。
どうでしょうか?
ワンルーム空室を全てクリーニングしても3万円ほどにしかなりません。
ここに、別途交通費や、駐車代金、器材経費がかかることを想定すると、1件だけのクリーニングでは、とうていやっていけません。
管理会社下請けの場合の依頼費用相場は、エンドユーザーよりもさらにお安くなります。
また、さきほどもご紹介したように、ロゴマークのある営業車を利用していると、管理会社の下請けになるのは難しいです。
さらに、ハウスクリーニングのフランチャイズで独立したての頃は、3LDKのサッシをクリーニングするだけで、7時間。
キッチンや換気扇、五徳などの酷い油汚れの場合には、10〜13時間かかることも普通にあります。
また、入居日が近い場合には終わるまで帰れないことも。
このような状態だと、現場の数をこなすにも限界がありますし、独立してから1年で挫折する方が多いのが現状なことも納得頂けるはずです。
繁忙期と閑散期の差が大きい
ハウスクリーニングは、市場規模からみると非常にニーズがありますが、実は繁忙期と閑散期の差が大きいことでも知られています。
繁忙期からご紹介すると、「年度末」や「年末」のご依頼数が圧倒的に多く、作業が深夜まで、朝方までかかることも日常茶飯事。
場合によっては車中泊をしないと現場が回らないことも。
一見、「繁忙期のご依頼だけでもやっていけるのでは?」と感じていらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には月の締めを開けた時に利益が上がらないこともあります。
年末には一般家庭のご依頼もありがたいことに非常に多いのですが、実は単価が安いため、作業をすればするほど体だけが疲弊し、利益が上がらないのが現状です。
ハウスクリーニングのフランチャイズ経営は、資金さえ用意できれば参入はしやすいですが、いざやってみると大半の方が
「こんなはずじゃなかった…」
「ハウスクリーニングってきびしい…」と開業前とのギャップに苦しみます。
もちろん、客層や立地条件によっては、フランチャイズでも利益を上げている方もおられますが、お伝えしたいことは安易に参入するのは注意が必要ということ。
まとめ
このように、ハウスクリーニングのフランチャイズに参入することは開業資金さえご用意できれば参入障壁は低いです。
ですが、継続的に本部に支払うロイヤリティがかかることや、繁忙期と閑散期の差があること、さらに業界ならではという単価の安さが、経営を難しくさせる要因でした。
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